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  • 執筆者の写真Matsuri Sakurai

路 -ミチ- プロローグ公開

ものがたり 文:柚雪

ある日の博麗神社。毎朝と同じように今日も境内の掃除をしている紅白巫女、博麗霊夢。 すると、すれ違った参拝客に声をかけられた。

「巫女さんも今日は電車に乗られるんですか?」

「電車?何の話?」

「知らないんですか?幻想郷に線路が敷かれて、ついに今日から電車が走りだすんですよ!」

参拝客の視線の先を見ると、なんとまあ本当に線路が敷いてあるではありませんか。 階段を降りて見に行ってみることにした。 (きっと紫のきまぐれに違いないわ…)


階段を降りて駅に行ってみると、そこにはやはりというべきか紫が待っていた。

「おはよう、霊夢。ずいぶん遅かったわね。」

「遅かったわね、じゃないわよ!これは一体どういうことなの?紫!」

「これ?河童にいじってもらって幻想郷をグルッと回れる路線を作ってみたの。   今日がその開通式で、博麗神社が始発駅なのよ。」

とあっけらかんと答える紫に呆れながらも、霊夢は続ける。

「始発駅って…、私はそんなこと許可した覚えはないわよ?」

「電車ができて行き来がしやすくなったら、神社の参拝客も増えるんじゃない?」

「わかったわよ!私が許可しなくても話は進むんだろうし、今更反対もしないわよ。」

「さすが霊夢♪話が早いわね。それにたまにはゆっくり幻想郷を旅するのも悪くないでしょう?」

「まあ、悪くはないんじゃない?行ってらっしゃ…」

「そういうことで、今から出発するわよ!」

「え?今から?」

電車の車内を見ると、紫の式神である八雲藍や、藍の式神橙だけでなく、見知った顔の妖怪や先ほど話した参拝客などたくさんの人が乗って、霊夢と紫が来るのを待ちわびて見ていた。

「あーもう!わかったわよ!行けばいいんでしょ、行けば!」

「これ駅メロってやつ?こんなものまで用意したの?なかなかいいものね。」

「ええせっかくだもの。旅の始まりにはこういうのもが付きものじゃない。」

音楽が鳴り終わると紫はどこからか取り出した駅員帽をかぶって、発車の合図をした。

「本日は幻想郷ラインにお乗りくださいまして、ありがとうございます。 みなさま、ごゆっくりと電車の旅をお楽しみくださいませ。それでは、幻想郷ライン発車!」

「紫…それがやりたかっただけじゃないの…?」

呆れながら言う霊夢に、紫は無邪気な笑顔で返したところで電車が走り出した。

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